【2024年9月3日更新】
海外在住者が年金を請求するためには
日本の年金を受け取るためには、まず日本の年金の納付済期間と免除期間だけで受給権ができるかを確認します。これらの期間だけで受給権ができなかった場合に、海外に居住していた期間を合算対象期間(カラ期間)として期間の計算に算入し受給権を得るという方法と、相手国期間を通算する方法があります。合算対象期間は下記で述べるとおりの期間が添付書類等を提出することによって認められれば使うことができますが、相手国期間を通算出来るかどうかは、移住された先の国が日本と社会保障協定を締結しているか、締結している場合、年金の通算規定があるかどうかによって変わってきます。
合算対象期間(カラ期間)とは
合算対象期間は、主に「国民年金に任意加入しなかった期間」、「被保険者から除かれていた方(適用除外期間)」や「基礎年金拠出金の拠出対象とならなかった期間」と大きく3種類があります。
合算対象期間は、年金を受け取るために必要な保険料納付済期間や保険料免除期間だけでは受給資格期間(10年または25年)を満たせないときに、老齢基礎年金の年金額の計算の対象にはなりませんが、受給資格期間として計算される期間です。
合算対象期間(カラ期間)を使用する場合
合算対象期間を使って年金の受給権を得る場合はその期間を証明する添付書類が必要となります。海外在住の期間を合算対象期間として使う場合は、その期間を証明するため通常は住民票か戸籍の附票(住民票の異動が確認できるものです。)を使います。もし、住民票を異動されないままに出国されている期間があるのであれば、出入国管理マスタファイル、もしくはパスポートを添付書類として使用します。ただ、これら二つは必ずしも海外居住の全期間を証明できるものではありません。
老齢年金の場合、ご本人だけの年金を受給する場合であれば、合算対象期間を使いますが、居住国での年金期間を通算すると加給金や振替加算を加算できる場合、期間通算を使うことになります。
遺族年金や障害年金では合算対象期間(カラ期間)では受給権ができなかった場合でも、期間通算を行うことで受給権ができることがあります。以下は、合算対象期間(カラ期間)とそれぞれの国の期間通算の仕方になります。
合算対象期間(カラ期間)の種類
1.被用者年金各法の被保険者又は組合員、若しくはその配偶者であった期間
対象となる期間 | 年齢要件 | 合算対象期間とするための条件 | |
厚生年金保険・船員保険の被保険者であった期間(〇) | ~昭和36年3月 | 20歳未満または60歳以上の期間を含む | 次の①又は②に該当し、かつ、昭和36年3月以前の期間が1年以上または36年4月以降の被保険者期間を合算して1年以上ある場合に限る。 ①昭和36年4月から昭和61年3月に国民年金の保険料納付済期間若しくは保険料免除期間、又は国民年金以外の公的年金加入期間がある。 ②昭和61年4月以降に国民年金法の保険料納付済期間又は保険料免除期間がある。 |
共済(組合)の組合員であった期間(◎) | ~昭和36年3月 | 20歳未満または60歳以上の期間を含む | 昭和36年4月以後に引き続いている期間で、1年以上ある場合に限る。 |
被用者年金各法の被保険者又は組合員であった期間のうち、20歳未満の期間又は60歳以上の期間 | 昭和36年4月~昭和61年3月 | 20歳未満および60歳以上の期間 | |
国民年金第2号被保険者であった期間のうち、20歳未満の期間又は60歳以上の期間 | 昭和61年4月~ | 20歳未満および60歳以上の期間 | |
被用者年金各法の被保険者又は組合員の配偶者で、国民年金に任意加入しなかった期間 | 昭和36年4月~昭和61年3月(日本に居住していた期間) | 20歳から59歳限り | 配偶者とは夫または妻のことを指し、婚姻の届出はしていなくても、事実上婚姻関係と同様の事情にある方を含む。 |
2.被用者年金制度等から支給される老齢(退職)年金の受給権者又はその配偶者であった期間
対象となる期間 | 年齢要件 | 合算対象期間とするための条件 | |
昭和36年4月から昭和61年3月までの老齢(退職)年金受給権者で、国民年金に任意加入しなかった期間(※1) | 昭和36年4月~昭和61年3月(日本に居住していた期間) | 20歳から59歳限り | 通算老齢年金、通算退職年金の受給権者は対象外 |
昭和61年4月以降の老齢(退職)年金受給権者で、国民年金に任意加入しなかった期間 | 昭和61年4月~(日本に居住していた期間) | 20歳~59歳限り | 通算老齢年金、通算退職年金の受給権者は対象外 |
上記(※1)の配偶者で、国民年金に任意加入しなかった期間 | 昭和36年4月~昭和61年3月(日本に居住していた期間) | 20歳から59歳限り | なし |
3.被用者年金制度等から支給される老齢(退職)年金の受給資格期間を満たした人又はその配偶者で、国民年金に任意加入しなかった期間
対象となる期間 | 年齢要件 | 合算対象期間とするための条件 | |
2の(※1)の老齢(退職)年金の受給資格期間を満たした人又はその配偶者で、国民年金に任意加入しなかった期間 | 昭和36年4月~昭和61年3月(日本に居住していた期間) | 20歳から59歳限り | 通算老齢年金、通算退職年金を除く |
4.被用者年金制度等から支給される障害年金等受給権者又はその配偶者で国民年金に任意加入しなかった期間
対象となる期間 | 年齢要件 | 合算対象期間とするための条件 | |
被用者年金制度等から支給される障害年金等受給権者又はその配偶者で国民年金に任意加入しなかった期間 | 昭和36年4月~昭和61年3月(日本に居住していた期間) | 20歳から59歳限り | なし |
5.被用者年金制度等から支給される遺族年金等受給権者で国民年金に任意加入しなかった期間
対象となる期間 | 年齢要件 | 合算対象期間とするための条件 | |
被用者年金制度等から支給される遺族年金等受給権者で国民年金に任意加入しなかった期間 | 昭和36年4月~昭和61年3月(日本に居住していた期間) | 20歳から59歳限り | 通算遺族年金は対象外 |
6.国会議員又はその配偶者であった期間
対象となる期間 | 年齢要件 | 合算対象期間とするための条件 | |
昭和36年4月から昭和55年3月までの国会議員であった期間(①) | 昭和36年4月~昭和55年3月(日本に居住していた期 間) | 20歳から59歳限り | なし |
昭和55年4月から昭和61年3月までの国会議員であった期間で、国民年金に任意加入しなかった期間(②) | 昭和55年4月~昭和61年3月(日本に居住していた期間) | 20歳から59歳限り | なし |
上記①又は②の配偶者で、国民年金に任意加入しなかった期間 | 昭和36年4月~昭和61年3月(日本に居住していた期間) | 20歳から59歳限り | なし |
7.地方議会議員又はその配偶者であった期間で、国民年金に任意加入しなかった期間
対象となる期間 | 年齢要件 | 合算対象期間とするための条件 | |
地方議会議員又はその配偶者であった期間で、国民年金に任意加入しなかった期間 | 昭和37年12月~昭和61年3月(日本に居住していた期間) | 20歳から59歳限り | なし |
8.学生であった期間で、国民年金に任意加入しなかった期間
対象となる期間 | 年齢要件 | 合算対象期間とするための条件 | |
学生であった期間で、国民年金に任意加入しなかった期間(①) | 昭和36年4月~昭和61年3月(日本 に居住していた期間) | 20歳から59歳限り | 以下のいずれかに該当する場合(夜間制・通信制を除く) ⅰ)高等専門学校または盲学校・ろう学校・養護学校の高等部の生徒であった期間 ⅱ)大学、短期大学又は大学院の学生であった期間 ⅲ)高等専門学校の学生であった期間 |
学生であった期間で、国民年金に任意加入しなかった期間 | 昭和61年4月~平成3年3月(日本に居住していた期間) | 20歳から59歳限り | 上記①のⅰ~ⅲまたは以下のⅳのいずれかに該当する場合(夜間制・通信制を除く) ⅳ)専修学校、各種学校(一部の業種に限る)の学生であった期間 |
9.昭和36年5月1日以後日本国籍を取得した方又は永住許可を受けた方の、外国籍であるために国民年金の適用が除外されていた在日期間
対象となる期間 | 年齢要件 | 合算対象期間とするための条件 | |
昭和36年5月1日以後日本国籍を取得した方又は永住許可を受けた方の、外国籍であるために国民年金の適用が除外されていた在日期間 | 昭和36年4月~昭和56年12月(日本に居住していた期間) | 20歳から59歳限り | 日本国籍取得者は、20歳到達日の翌日から65歳到達日の前日までに取得したものに限る。 |
10.昭和36年5月1日以後日本国籍を取得した方又は永住許可を受けた方の、海外在住期間のうち、取得・許可前の期間
対象となる期間 | 年齢要件 | 合算対象期間とするための条件 | |
昭和36年5月1日以後日本国籍を取得した方又は永住許可を受けた方の、海外在住期間のうち、取得・許可前の期間 | 昭和36年4月~(海外在住期間) | 20歳から59歳限り | 日本国籍取得者は、20歳到達日の翌日から65歳到達日の前日までに取得したものに限る。 |
11.日本人であって、日本に住所を有しなかった期間
対象となる期間 | 年齢要件 | 合算対象期間とするための条件 | |
昭和36年4月から昭和61年3月までの期間 | 昭和36年4月~昭和61年3月(日本に住所を有していない) | 20歳から59歳限り | 日本に住民基本台帳登録を残している場合は対象外 |
昭和61年4月以降の期間で、国民年金に任意加入しなかった期間 | 昭和61年4月~( 日本に住所を有していない) | 20歳から59歳限り | 日本に住民票基本台帳登録を残している場合は対象外 |
12.昭和61年3月31日までに厚生年金保険又は船員保険の脱退手当金を受けた方で、その計算の基礎となった期間
対象となる期間 | 年齢要件 | 合算対象期間とするための条件 | |
昭和61年3月31日までに厚生年金保険又は船員保険の脱退手当金を受けた方で、その計算の基礎となった期間 | 昭和36年4月~昭和61年3月(居住条件はなし) | 20歳未満の期間も含む | 昭和61年4月から65歳に達する日の前日までの間に保険料納付済期間(免除期間を含む)があること |
13.昭和54年12月31日までに共済(組合)が支給した退職一時金の計算の基礎となった期間のうち、保険料納付済期間とみなされなかった期間(原資非凍結)
対象となる期間 | 年齢要件 | 合算対象期間とするための条件 | |
昭和54年12月31日までに共済(組合)が支給した退職一時金の計算の基礎となった期間のうち、保険料納付済期間とみなされなかった期間(原子非凍結) | 昭和36年4月~昭和54年12月(居住要件はなし) | 20歳未満の期間も含む | ・昭和55年1月以後退職一時金の計算の基礎となった期間は、合算対象期間には算入されない。 ・昭和36年3月以前の期間は、退職一時金の支払いの有無や原資凍結の有無にかかわらず、1.の(◎)の条件に該当する場合は合算対象期間に算入する。(1.の(◎)の期間として扱う) |
14.特別一時金の計算の対象となった期間
対象となる期間 | 年齢要件 | 合算対象期間とするための条件 | |
特別一時金の計算の対象となった期間 | 昭和36年4月~昭和61年3月(日本に居住していた期間) | 20歳から59歳限り | なし |
15.国民年金の任意脱退の承認を受けて、国民年金の被保険者にならなかった期間
対象となる期間 | 年齢要件 | 合算対象期間とするための条件 | |
昭和36年4月から昭和61年3月に任意脱退の承認を受けた方 | 昭和36年4月~昭和61年3月(日本に居住していた期間) | 20歳から59歳限り | なし |
昭和61年4月から平成29年7月に任意脱退の承認を受けた方 | 昭和61年4月~平成29年7月(日本に居住していた期間) | 20歳から59歳限り | なし |
16.通算対象期間となる期間
対象となる期間 | 合算対象期間とするための条件 | |
昭和36年3月までの通算対象期間 | ~昭和36年3月 (年齢要件・居住要件なし) | 1の(〇)の(ⅰ)又は1の(◎)に該当する場合は、1の(〇)又は1の(◎)として扱う |
昭和36年4月から昭和61年3月までの通算対象期間で、旧国年法の保険料納付済期間及び免除期間並びに被用者年金制度加入期間を除いた期間 | 昭和36年4月~昭和61年3月(年齢要件・居住要件なし) | 共済組合に引き継がれない恩給法又は年金条例の期間など |
17.旧共済法に基づく(減額)退職年金の計算の基礎となった期間
対象となる期間 | 合算対象期間とするための条件 | |
旧共済法に基づく(減額)退職年金の計算の基礎となった期間 | 昭和36年4月~昭和61年3月(年齢要件・居住要件なし) | ・昭和6年4月2日以降生まれに限る。 ・昭和36年3月以前の期間は(減額)退職年金の支給の有無にかかわらず、1の(◎)に該当する場合は1の(◎)として扱う |
18.国民年金の任意加入期間のうち、保険料が未納であった期間
対象となる期間 | 年齢要件 | 合算対象期間とするための条件 | |
国民年金の任意加入期間のうち、保険料が未納であった期間 | 昭和36年4月~(昭和61年3月以前の期間については日本に居住していた期間) | 20歳から59歳限り | 平成26年4月1日以降、合算対象期間に算入する |
相手国期間との期間通算
相手国での年金期間は合算対象期間(カラ期間)のように海外在住者であればだれでも使えるということではありません。居住国が日本と社会保障協定を締結しており、なおかつその協定において年金の通算が認められていないとできません。
また、年金請求において、上記の合算対象期間(カラ期間)を使っても年金受給に不利益が生じないのであれば、合算対象期間(カラ期間)を使います。相手国期間を使うときは、合算対象期間では得られない利益が相手国期間を使うことによって生じる時だけです。
アメリカと日本の期間通算の方法
アメリカの「クレジット」を日本の「3カ月」の保険期間に換算し算入します。
日本の保険期間とは重複しない期間に換算されたアメリカの保険期間を算入します。
原則として、暦年のはじまりから算入しますが、年金受給権の獲得のために必要がある場合は、個々の給付ごとに、暦年の終わりから順に算入していきます。
【具体例】
①原則的なケース
例) 合衆国期間が2クレジットある場合
平成16年1月から6月までに2クレジット(6月換算)を算入します。
②期間が重複する場合
例) 厚生年金保険期間(平成16年3月~7月)、アメリカの保険期間(2クレジット)
⇒平成16年1月~2月、8月~11月までの2クレジット(6カ月換算)を算入します。
③重複して12カ月以上ある場合
例:厚生年金期間(平成16年3~7月)、アメリカの保険期間(3クレジット)
⇒平成16年1~2月、8~12月までの7カ月分を算入し、2か月分は考慮しません。
初診日又は死亡日がアメリカ期間にある場合に日本期間とみなす場合の条件
アメリカの年金加入期間については、暦年における実際の就労月とは関連性を有していないため、次のいずれかの条件を満たした場合のみ日本の年金制度に加入していたものとみなします。
① 初診日又は死亡日が属する暦四半期までの8暦四半期中に、少なくとも4四半期分のクレジットが付与されていること(4/8要件)。
② 初診日又は死亡日が属する暦四半期までの13暦四半期中に、少なくとも6四半期分のクレジットが付与されていること(6/13要件)。
スウェーデンと日本の期間通算の方法
通算の対象となるスウェーデン期間
給付を受ける権利の取得のために用いられる保険料納付期間及び保険期間(育児期間、兵役期間等)
通算の方法
日本の保険期間のみでは受給資格要件を満たさない場合に限り、スウェーデンの保険期間を日本年金の老齢・障害・遺族年金の受給資格要件に算入します。
日本の保険期間と重複しない期間について日本の被用者年金の保険期間及び国民年金における第2号被保険者期間として取り扱います。
各暦年について、スウェーデンの法令による1年の保険期間(スウェーデンの実施機関により証明されたものに限ります。)ごとに、12カ月の日本の保険期間を付与します。これにより付与される保険期間の月数及び日本の法令により保険期間としてすでに算入された月数の総計は、1暦年について12を超えません。
【具体例】
①原則的なケース
日本期間がなく、スウェーデン期間が1暦年ある場合
スウェーデン保険期間1暦年を日本年金の12カ月として算入します。
②期間が重複する場合
厚生年金期間(3月~7月)、スウェーデン保険期間(1暦年)。
1月、2月、8月~12月のスウェーデン期間を算入します。
期間が重複する場合の期間通算の方法
- 例:厚生年金期間(3月~7月)、スウェーデンの保険期間(1暦年)
⇒1~2月、8月~12月のスウェーデン期間を算入します。
※スウェーデンの年金保険期間と日本の年金保険期間の総数は、1暦年について、12カ月を超えないものとなります。
カナダと日本の期間通算の方法
通算の対象となるカナダ期間
カナダ制度における保険期間は以下の通りです。
①カナダ年金制度(CPP)における保険期間
実際に保険料を納付した期間であり、保険料を納付した場合に1暦年あたり1年の保険期間が付与されます。
なお、障害年金を受けている間は保険料が免除されます。
②老齢保障制度(OAS)における居住期間
カナダの領域内に居住した期間であり、老齢保障法の受給要件及び受給額を決定するために用いられます。
※ケベック州には独自の年金制度(QPP:Quebec Pension Plan)があるが、これは日カナダ協定の対象ではないため、日本との間で適用調整や年金加入期間の通算を行いません。通算の対象となるのは、カナダ年金制度による給付を受ける権利の取得のために用いられる保険料納付期間及び同法により障害年金が支給される期間です。
通算の方法
カナダ年金制度法(CPP:Canada Pension Plan)による暦年ごとの1年(毎年1月1日~12月31日)の保険期間を、日本の12カ月の年金加入期間として換算します。日本の実施機関によりすでに算入された月は含みません。また、これにより付与される月数及び日本の法令により保険期間としてすでに算入された月数の総計は、1暦年について12を超えません。
【具体例】
①原則的なケース
例) カナダ保険期間が1暦年ある場合
カナダ保険期間1暦年(平成16年)を厚生年金期間の12カ月(平成16年1~12月)として算入します。
②期間が重複するケース
例) 厚生年金保険(平成16年7~10月)、カナダ保険期間(平成16年)。
平成16年1月~6月、11月~12月のカナダ期間を算入します。(すでに日本の保険期間である場合は算入しません。)
インドと日本の期間通算の方法
通算の対象となるインド期間
インドの被用者年金(EPS)における保険料を納付した期間を算入できますが、EPSの脱退給付を受けた期間は通算できません。
被用者積立基金(EPF)は、退職時に一時金として給付を受ける制度のため、加入期間は通算できません。
給付を受ける権利の確立に際して考慮されるその他の期間もあります。
通算の方法
日本の保険期間のみで受給資格要件を満たさない場合に限り、インドの保険期間を日本年金の老齢・障害・遺族年金の受給資格要件に算入します。
日本の保険期間と重複しない期間について日本の厚生年金の保険期間及び国民年金における第2号被保険者期間として取り扱います。
【具体例】
①原則的なケース
インド期間(平成28年1月~6月)がある場合
平成28年2月~6月までに算入します。
②期間が重複する場合
厚生年金期間(平成28年5~12月)、インド期間(平成28年1~6月)がある場合
平成28年1~4月までの4か月を算入します。
オーストラリアと日本の期間通算の方法
日本・オーストラリアともに、老齢給付に関する期間のみ通算します。
オーストラリア老齢年金は、居住期間を基に支給等を行います。「オーストラリアでの居住」期間のうち、被用者又は自営業者として就労していた期間(協定上「就労居住期間」という。)を、日本の年金加入期間に算入できる。
「オーストラリアでの居住」とは、16歳から老齢年金受給資格発生年齢までの間に恒常的にオーストラリアに「居住」しており、オーストラリア市民権、Permanent visaのいずれかを保有してオーストラリアで過ごした期間を指します。
「就労居住期間」とは、オーストラリアでの居住期間のうち、被用者又は自営業者として就労していた期間を指します。
通算の対象とされるオーストラリアの期間は、実際に保険料を拠出した期間に限定する必要があるため、実際に納税している蓋然性が高い被用者又は自営業者の期間のみを算入できることとしています。
通算の方法
日本の保険期間のみでは受給資格要件を満たさない場合に限って、オーストラリア就労居住期間を日本年金の受給資格要件に算入します。
通算の対象となるのは老齢年金のみであり障害・遺族年金は通算の対象となりません。(年金受給資格期間が25年から10年に短縮された平成29年8月1日より前に、オーストラリア就労居住期間を有する者が、通算により老齢年金の受給権が発生した後に死亡した場合には、通算により合算された期間が25年以上である者とみなし、遺族年金を支給します。なお、その際の遺族年金の支給額は、特例法の規定に基づき計算されます。)
日本の保険期間と重複しない期間について、日本の被用者年金の保険期間及び国民年金における第2号被保険者期間として算入します。
【具体例】
①原則的なケース
例) オーストラリア就労居住期間(平成20年1月~6月)がある場合
平成20年1月~6月までに算入します。
②期間が重複する場合
例) 厚生年金期間(平成20年5~12月)、オーストラリア就労居住期間(平成20年1~6月)がある場合
平成20年1~4月までの4か月を算入します。
ドイツと日本の期間通算
通算の対象となるドイツ期間
- ドイツ期間・・・・・・・・・・・・・・ドイツ保険料納付期間と代替期間を総称した期間
- ドイツ保険料納付期間・・・・・ドイツ期間のうち、実際に保険料を納付した期間
- 代替期間・・・・・・・・・・・・・・・・兵役期間等の戦争又は兵役に関する期間(1991年以前の期間に限ります。)
通算の方法
ドイツ期間を日本年金の受給要件に算入する場合は、日本保険期間に相当するドイツ期間等を算入することになります。
【具体例】
①原則的なケース
例) ドイツ期間(平成16年1月~平成16年6月)がある場合
平成16年1月~平成16年6月までに算入します。
②期間が重複する場合
例) 厚生年金期間(平成16年5~12月)、ドイツ期間(平成16年1~6月)がある場合
平成16年1~4月までの4か月を算入します。
ベルギーと日本の期間通算
通算の対象となるベルギー期間
日ベルギー協定に規定するベルギー保険期間とは、就労期間及び見なし期間です。保険期間は四半期単位でベルギーから提供されます。
- 就労期間・・・・・・・・・就労及び保険料を支払った期間
- みなし期間・・・・・・・疾病、出産休暇、兵役などの期間
通算の方法
ベルギー期間を日本年金の受給資格要件に通算する場合は、日本保険期間に相当するベルギー期間等を算入することになります。
ベルギー実施機関が証明した特定の四半期を、該当する日本の保険期間に換算して算入します。
算入に際しては、日本の保険期間とは重複しない期間のベルギー保険期間を算入します。
【具体例】
①原則的なケース
例) ベルギー保険期間が第1四半期~第3四半期までにある場合
②期間が重複するケース
例) 厚生年金保険(平成16年7~10月)、ベルギー保険期間(第1四半期~第3四半期)
平成16年度1月から6月までの第1四半期から第2四半期分を算入します。
フランスと日本の期間通算
通算の対象となるフランス期間
フランス協定に規定するフランス保険期間とは、フランスの保険期間及び実際に経過していないフランス期間です。保険期間は暦年ごとに当該暦年の収入に対し加入四半期が付与されます。
<フランスの保険期間>
暦年ごとに、当該暦年の収入に対し加入四半期が付与されます。1暦年中4加入四半期の付与を上限としています。
<実際に経過していないフランス期間>
母親が子どもを養育した場合、その子が16歳になるまでの1年間につき1四半期(子ども1人あたり8四半期が上限)が付与されます。
通算の方法
フランス期間を日本年金の受給資格要件に通算する場合は、日本保険期間に相当するフランス期間等を算入することになります。
各暦年について、1加入四半期ごとに3カ月の保険期間を付与します。
保険期間は、月を単位とし、日本国の法令により保険期間としてすでに算入された月を補完するものとなるように割り当てます(すでに算入された月を除き、当該暦年において最初の月から始まる順序で割り当てることとし、個々の給付を受ける権利の確立のために必要な場合は、当該暦年において最後の月から始まる順序で割り当てます。)
割り当てられる保険期間の月数及び日本国の法令により保険期間としてすでに算入された月数の総数は、1暦年について12を超えません。
フランス保険期間のうち暦年中に位置づけられないもの(「実際に経過していないフランス期間」)についても、日本の法令に基づく給付を受ける権利の確立のために考慮します。(保険期間を特定しなければならない場合は用いることができません。)
【具体例】
①原則的なケース
例) フランス保険期間が2加入四半期ある場合
平成16年1月から6月までに2加入四半期(6か月換算)を算入します。
②期間が重複する場合
例) 厚生年金期間(平成16年3~7月)、フランス保険期間が2加入四半期ある場合
平成16年1月~2月、8月~11月までの2加入四半期(6カ月換算)を算入します。
③期間が重複する場合(重複して12カ月以上)
例) 厚生年金期間(平成16年3~7月)、フランス保険期間が3加入四半期ある場合
平成16年1~2月、8~12月までの7カ月を算入し、2か月分は考慮しません。
初診日又は死亡日がフランス期間にある場合に日本期間とみなす場合の条件
フランスは年金加入記録が四半期ごとに管理されており、初診日又は死亡日の属する暦年において裁定1加入四半期のフランス保険期間を有している場合に日本の年金制度に加入していたものとみなします。
オランダと日本の期間通算
通算の対象となるオランダ期間
オランダの法令に基づく保険期間のうち単に居住していた事だけを理由として付与された保険期間を除外し、保険料を納付していた期間のみを通算の対象とします。
通算の方法
日本の保険期間のみで受給資格要件を満たさない場合に限り、オランダの保険期間を日本年金の老齢・障害・遺族年金の受給資格要件に算入します。
日本の保険期間と重複しない期間について日本の被用者年金の保険期間及び国民年金における第2号被保険者期間として取り扱います。
【具体例】
①原則的なケース
例) オランダ期間(平成20年1月~6月)がある場合
平成20年1月~6月までに算します。
②期間が重複する場合
例) 厚生年金期間(平成20年5~12月)、オランダ期間(平成20年1月~6月)がある場合
平成20年1~4月までの4月を算入します。
チェコと日本の期間通算
通算の対象となるチェコ期間
①保険料納付済期間
被用者又は自営業者として年金制度に加入し保険料を拠出した期間
②代替保険期間
失業期間や学生期間等、年金受給資格期間や年金額計算等の基礎となる期間として考慮される無拠出の期間
通算の方法
日本の保険期間のみで受給資格要件を満たさない場合に限り、チェコの保険期間を日本年金の老齢・障害・遺族年金の受給資格要件に算入します。
日本の保険期間と重複しない期間について日本の被用者年金の保険期間及び国民年金における第2号被保険者期間として取り扱います。
チェコ以外の国との社会保障協定により保険期間として考慮される期間は通算することはできません。(チェコ年金においては日本以外の国との社会保障協定による保険期間についても通算することができます。)
【具体例】
①原則的なケース
チェコ期間(平成21年1月~6月)がある場合
平成21年1月~6月までに算入します。
②期間が重複する場合
厚生年金期間(平成21年5~12月)、チェコ期間(平成21年1月~6月)がある場合
平成21年1~4月までの4か月を算入します。
スペインと日本の期間通算
通算の対象となるスペイン期間
①通常加入期間
労働者が就労し、年金制度に加入した期間
②準加入期間
失業給付受給期間、育児休業期間等労働者が労働活動を一時的に停止していたが、加入の継続と認められる期間。
③みなし加入期間
労働者が就労しているが、企業が登録義務や保険料納付義務を果たしていない期間
通算の方法
スペイン保険期間を日本年金の受給資格要件に通算する場合は、日本保険期間期間に相当するスペイン期間等を算入することになります。
【具体例】
①原則的なケース
スペイン期間(平成20年1~6月)がある場合
平成20年1月~6月までに算入します。
②期間が重複する場合
厚生年金期間(平成20年5~12月)、スペイン期間(平成20年1~6月)がある場合
平成20年1~4月までの4か月を算入します。
アイルランドと日本の期間通算
通算の対象となるアイルランド期間
①納付期間年金制度に加入し保険料を拠出した期間
②みなし期間障害年金、求職者給付等を受給していた期間
③任意加入期間強制適用の対象者でない場合でも、66歳未満の場合は一定の要件を満たすことで任意加入されます。
通算の方法
日本の保険期間のみで受給資格要件を満たさない場合に限り、アイルランドの保険期間を日本年金の老齢・障害・遺族年金の受給資格要件に算入します。
日本の保険期間と重複しない期間について日本の被用者年金の保険期間及び国民年金における第2号被保険者期間として取り扱います。
参入する場合は、アイルランド保険期間4.33週で日本期間1月とし、原則として暦年の最初から割り当てます。ただし、個々の権利を確立するために年の最後から割り当てます。
【具体例】
①原則的なケース
アイルランド期間(4.33週)がある場合
平成22年1月に算入します。
②端数が生じる場合
アイルランド期間(12週)がある場合
平成21年1~3月までに算入します。
③期間が重複する場合
厚生年金期間(平成21年3~6月)、アイルランド期間(30週)がある場合
平成21年1月~2月及び7月~11月の7カ月を算入します。
④最後から割り当てる場合
アイルランド期間(30週)がある場合
平成21年6~12月までに7カ月算入します。
ブラジルと日本の期間通算
通算の対象となるブラジル期間
①保険料納付済期間
ブラジルの年金制度に加入し保険料を納付した期間
②その他の期間
通算の方法
日本の保険期間のみで受給資格要件を満たさない場合に限り、ブラジルの保険期間を日本年金の老齢・障害・遺族年金の受給資格要件に算入します。
日本の保険期間と重複しない期間について日本の被用者年金の保険期間及び国民年金における第2号被保険者期間として取り扱います。
算入する場合は、ブラジル保険期間1カ月で日本期間1カ月とします。
【具体例】
①原則的なケース
ブラジル期間(平成20年1月~6月)がある場合
平成20年1月~6月までに算入します。
②期間が重複する場合
厚生年金期間(平成20年5~12月)、ブラジル期間(平成20年1~6月)がある場合
平成20年1~4月までの4か月を算入します。
スイスと日本の期間通算
通算の対象となるスイス期間
①被保険者が保険料を納付した期間
②被保険者の配偶者が最低保険料の二倍の保険料を支払った期間。(被保険者は無業であること、又は配偶者の所有する企業で現金給与なしに就労している者であること。)
③子育て又は介護の手当てを受給している期間
通算の方法
日本の保険期間のみで受給資格要件を満たさない場合に限り、スイスの保険期間を日本年金の老齢・障害・遺族年金の受給資格要件に算入します。
日本の保険期間と重複しない期間について日本の被用者年金の保険期間及び国民年金における第2号被保険者期間として取り扱います。
【具体例】
①原則的なケース
スイス期間(平成20年1月~6月)がある場合
平成20年1月~6月までに算入します。
②期間が重複する場合
厚生年金保険(平成20年5~12月)、スイス期間(平成20年1~6月)がある場合
平成20年1~4月までの4か月を算入します。
ハンガリーと日本の期間通算
通算の対象となるハンガリー期間
①強制加入保険期間及びそれに準じた期間
②任意加入保険期間
なお、ハンガリーの法令のもとで取得された特定の期間と結びつていない保険期間は考慮されません。
例) 購入期間、1968年以前に子どもを出産した母親に対して付与される保険期間
通算の方法
日本の保険期間のみで受給資格要件を満たさない場合に限り、ハンガリーの保険期間を日本年金の老齢・遺族年金の受給資格要件に算入します。
日本の保険期間と重複しない期間について日本の被用者年金の保険期間及び国民年金における第2号被保険者期間として取り扱います。
【具体例】
①原則的なケース
ハンガリー期間(平成25年1月~6月)がある場合
平成25年1月~6月までに算入します。
②期間が重複する場合
厚生年金期間(平成25年5~12月)、ハンガリー期間(平成25年1~6月)がある場合
平成25年1~4月までの4か月を算入します。
ルクセンブルクと日本の期間通算
通算の対象となるルクセンブルク期間
強制加入保険期間及びそれに準じた期間。
ルクセンブルクの法令のもとで取得された特定の期間と結びついていない保険期間は考慮されません。
通算の方法
日本の保険期間のみで受給資格要件を満たさないない場合に限り、ルクセンブルクの保険期間を日本年金の老齢・障害・遺族年金の受給資格期間に算入します。
日本の保険期間と重複しない期間について日本の被用者年金の保険期間及び国民年金における第2号被保険者期間として取り扱います。
【具体例】
①原則的なケース
ルクセンブルク期間(平成28年1月~6月)
平成28年1月~6月までに算入します。
②期間が重複する場合
厚生年金期間(平成28年5~12月)、ルクセンブルク期間(平成28年1~6月)がある場合
平成28年1~4月までの期間を算入します。
フィリピンと日本の期間通算
通算の対象となるフィリピン期間
フィリピンの法令に基づく保険期間について通算の対象とします。
通算の方法
日本の保険期間のみで受給資格要件を満たさない場合に限り、フィリピンの保険期間を日本年金の老齢・障害・遺族年金の受給資格要件に算入します。
日本の保険期間と重複しない期間について日本の被用者年金の保険期間及び国民年金における第2号被保険者期間として取り扱います。
【具体例】
①原則的なケース
フィリピン期間(平成30年1月~6月)がある場合
平成30年1月~6月までに算入します。
②期間が重複する場合
厚生年金期間(平成30年5月~12月)、フィリピン期間(平成30年1~6月)がある場合
平成30年1~4月までの4か月を算入します。
スロバキアと日本の期間通算
通算の対象となるスロバキア期間
強制加入保険期間及びそれに準じた期間
なお、スロバキアの法令のもとで取得された特定の期間と結びついていない保険期間は考慮されません。
通算の方法
日本の保険期間のみで受給資格要件を満たさない場合に限り、スロバキアの保険期間を日本年金の老齢・障害・遺族年金の受給資格要件に算入します。
日本の保険期間と重複しない期間について日本の被用者年金の保険期間及び国民年金における第2号被保険者期間として取り扱います。
【具体例】
①原則的なケース
スロバキア期間(平成31年1月~令和元年6月)がある場合
平成31年1月~令和元年6月までに算入します。
②期間が重複する場合
厚生年金期間(令和元年5~12月)、スロバキア期間(平成31年1~令和元年6月)がある場合
平成31年1~4月までの4月を算入します。
フィンランドと日本の期間通算
通算の対象となるフィンランド期間
フィンランドの所得比例年金制度に基づく保険期間について通算の対象とします。
①保険料納付期間
②保険料納付期間と同等のものと認められるその他の期間
通算の方法
日本の保険期間のみで受給資格要件を満たさない場合に限り、フィンランドの保険期間を日本年金の老齢・障害・遺族年金の受給資格要件に算入します。
日本の保険期間と重複しない期間について日本の被用者年金の保険期間及び国民年金における第2号被保険者期間として取り扱います。
【具体例】
①原則的なケース
日本期間がなく、フィンランド期間(令和3年1月~12月)がある場合(2005年以降、フィンランドの保険期間は年単位で記録・管理されています。)
⇒フィンランド期間を令和3年1月~12月まで算入します。
②期間が重複する場合
厚生年金保険(令和3年7~12月)及びフィンランド期間(令和3年1~12月)がある場合
⇒重複していない令和3年1~6月までの6月についてフィンランド期間を算入します。