【2024年9月4日更新】
海外在住者の受給資格要件
日本の老齢年金の受給権発生のためには、一定の期間要件を満たすことが必要です。
例) 保険料納付済期間 + 保険料免除期間 + 合算対象期間 ≧ 10年 (2017(平成29)年8月1日以降)
イギリス、韓国、中国、イタリアを除く社会保障協定では、相手国年金制度の加入期間を通算し、年金給付等の受給権に結び付けることができます。(重複期間は除きます。)
※給付の種類によっては、上記以外に通算されない国がありますので詳細は「日本との社会保障協定締結国」のページをご覧ください。
オーストラリア
※オーストラリアの場合、老齢に係る給付のみ、受給資格要件及び支給額の計算に相手国期間を算入できます。なお、受給資格短縮(平成29年8月1日)より前に、オーストラリア期間を有する者が通算による老齢給付受給後に死亡した場合、日本の保険料納付済期間と相手国期間を通算して25年以上とみなし、遺族給付が支給されます。
自国の年金制度の加入期間のみで受給権が発生する場合は、年金加入期間の通算は行われません。
日本の公的年金各法に基づく給付等の受給資格要件を満たさない者が複数の相手国期間を有する場合、社会保障協定ごとに、その協定相手国期間のみを有するとそれぞれ通算します。協定相手国以外の期間とは通算されません。
例) 日本・ドイツ・アメリカ を有していても、3国すべての通算はされません。
※ 給付額は、社会保障協定ごとに計算した額のうち最も高い額となります。
海外在住者の合算対象期間(カラ期間)
日本の老齢年金を受給していただくためには上記のとおり、10年の期間要件を満たしていなければなりませんが、この期間には、合算対象期間(「カラ期間」とも呼ばれます。)を含めていただくこともできます。合算対象期間には様々ありますが、日本人が日本を離れ海外に在住されていた期間も合算対象期間にすることができます。住民票や戸籍の附票で確認できる期間(住民票を抜いていって海外へ出国されていることが住民票や戸籍の附票上で確認できる期間)であることが原則ですが、住民票や戸籍の附票で確認できなければ、入港管理局の出入国管理記録やパスポートで確認することもあります。ただし、出入国管理記録は古い記録の場合は出国当初からの日付を確認できないこともあります。パスポートや出入国管理記録では必ずしも海外に居住していた全期間の証明にならないことに注意が必要です。
年金額の計算
相手国期間の通算により受給権が発生する場合においても、年金額については自国年金制度の加入期間のみを額計算の基礎とし、それぞれの国が支給します。
日本の老齢給付の年金額は、日本の加入期間等に比例して計算し、相手国期間の納付実績は合算対象期間と同様の取り扱いになります。
※老齢基礎年金の場合は、原則、20歳以上60歳未満の期間が計算に含める対象の期間となります。
受給権が発生から5年経過後に請求された場合は、受給権(基本権)は認められますが、遡及して支払われる年金は5年分となります。 ただし、記録訂正に伴う時効特例法の適用、事務処理誤りや記録訂正により時効が援用されない(5年以上遡って受け取れる)場合もあります。
複数の協定が同時に適用される場合
- 通算により受給権が発生した公的年金各法に基づく給付等の額は、その受給権者が複数の相手国期間を有する場合、1つの社会保障協定における相手国期間のみを有するとしてそれぞれ計算したうち最も高い額とします。
- 一方の協定で要件を満たすが、他方の協定では要件を満たさない場合は、要件を満たす一方の協定のみ適用します。
- 通算により、同時に複数の老齢厚生年金又は共済年金各法の退職共済年金の加給金を受給できる場合、支給されるのは最も高い額のみとなり、その間他の加給金は支給停止されます。
ご不明な点は当所までお尋ねください。