【2024年8月13日更新】

相手国期間の通算

 日本の厚生年金保険期間のみでは、老齢厚生年金の加給年金額・老齢基礎年金の振替加算の加算要件(老齢満了)を満たさないが、社会保障協定による相手国期間を算入すればそれぞれの要件を満たす、という場合に相手国期間を通算します。

 加給年金額については、次の要件に該当した場合であって、加給年金額の加算対象者がいるときに加算されます。

①老齢厚生年金の額の計算の基礎となる厚生年金保険の被保険者期間の月数が、240月(20年)以上であること。

②厚生年金保険の中高齢の期間短縮の特例に該当する場合

のいずれかに該当すること。

 加給年金や振替加算による加算は、本来は加算の対象者である配偶者自身が老齢満了した老齢厚生年金を受給できる間(令和4年4月1日以降は法改正に伴い、経過措置に該当する場合を除き、加算の対象者である配偶者自身に老齢満了した老齢厚生年金の受給権が発生したとき)は、受給権者への支給は停止されます。

 しかしながら、夫婦ともに社会保障協定によって老齢満了とみなされた場合にかぎり、加給年金額の加算や振替加算は停止されません。相手国期間の通算によって夫婦ともに満了した場合は、夫婦二人が同時に加給年金額等の加算が受けられるのではなく、夫婦どちらか一方が、より高額の加給年金額等の加算を受け取ります。

 加給年金額の加算額を計算する際には本人の、振替加算額を計算する際には配偶者の期間比率を用いて計算します。

老齢満了とは

被用者年金(厚生年金保険、共済年金等)の被保険者期間が240月以上、又は中高齢の短縮特例に該当する場合をいいます。

中高齢の短縮特例

平成29年7月以前に受給開始年齢を迎える方は、原則25年以上の資格期間が必要になりますが、以下のいずれかの特例に該当する場合は、資格期間を満たしたものとみなされます。

40歳(女性・坑内員・船員は35歳)以降の厚生年金保険の加入期間が、生年月日に応じて定められた期間以上あること。

  • 昭和22年(1947年)4月1日以前・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・15年
  • 昭和22年(1947年)4月2日~昭和23年(1948年)4月1日・・・・・・・16年
  • 昭和23年(1948年)4月2日~昭和24年(1949年)4月1日・・・・・・・17年
  • 昭和24年(1949年)4月2日~昭和25年(1950年)4月1日・・・・・・・18年
  • 昭和25年(1951年)4月2日~昭和26年(1952年)4月1日・・・・・・・19年

協定発効時点で65歳を超えるもの

 65歳到達日以後に、協定の発効により老齢基礎年金の受給権が発生する者について、振替加算にかかる生計維持要件の判定日は、協定発効日となります。

老齢基礎年金の振替加算等の額

 通算により支給する老齢基礎年金の振替加算等は、生年月日に応じた振替加算の額に期間比率又は按分率を乗じて計算します。

老齢厚生年金の加給金等の額

 通算により支給する老齢厚生年金の加給年金等の額は、厚生年金保険法の規定による額に期間比率を乗じて計算します。

≪期間比率≫

 受給権者の厚生年金保険等の被保険者期間の月数を、老齢満了の要件期間の月数で除して得た率(加給年金額や振替加算額の計算に使用)

期間比率 = 日本の被用者年金制度加入 / 老齢満了の要件期間

障害厚生年金の配偶者加給金の額

 通算により支給する障害厚生年金の配偶者加給年金の額は、定額に按分率を乗じて計算します。

≪按分率≫

 特例による障害年金及び遺族年金の、年金額・加給年金額・振替加算額等を算出する際に用います。按分率の計算方法は、協定国によって異なります。

 按分率は最低保障額の計算と同じものを用います。

 併合認定の場合、失権した前発の障害厚生年金の配偶者加給が、前記の按分率を乗じて得た併合認定後の障害厚生年金の配偶者加給よりも高額となる場合は、前発の配偶者加給の額が支給されます。