【2024年10月12更新】

 当所では、脱退一時金の申請や還付金請求手続きを代行しております。どちらか一方のみの代行も可能ですので、お気軽にお問い合わせください。

外国人脱退一時金受け取り後の留意点

 社会保障協定における「年金加入期間の通算」は、日本と相手国との年金加入期間を通算し、年金受給権を確保することが目的です。

 一方、国民年金の保険料納付済期間又は厚生年金保険被保険者期間が6月以上ある外国籍の方には、出国後2年以内に請求することで一時金が支給される「外国人脱退一時金制度」があります。この外国人脱退一時金の支給を受けた期間は、協定において年金加入期間として通算できなくなります。「年金加入期間の通算」が可能な協定相手国の国民の場合は通算により年金として受給するか、外国人脱退一時金を受けるかを十分見極めることが必要です。

 なお、外国人脱退一時金は、次のすべてに該当することが必要となります。

外国人脱退一時金を受け取るための要件

国民年金の場合

①請求時に日本国籍を有していないこと。

②公的年金制度(厚生年金保険または国民年金)の被保険者でないこと。

③請求日の前日時点で、請求日の属する月の前月までの第1号被保険者(任意加入被保険者を含む)としての保険料納付済期間等の月数の合計が、6月以上あること。

④老齢基礎年金等の受給資格要件(10年)を満たしていないこと。

厚生年金保険の場合

①請求時に日本国籍を有していないこと。

②公的年金制度(厚生年金保険または国民年金)の被保険者でないこと

③厚生年金保険(共済組合等を含む)の被保険者期間が6月以上あること。

④老齢厚生年金等の受給資格要件(10年)を満たしていないこと

 また、次のいずれかに該当する場合、外国人脱退一時金は請求できません。

①日本国内に住所を有する(住民票が消除されていない)場合

②国民年金の脱退一時金であれば障害基礎年金、厚生年金保険の脱退一時金であれば障害厚生年金(障害手当金を含む)の受給権を有したことがある場合

③最後に国民年金被保険者の資格を喪失した日(同日において日本国内に住所を有していた者にあっては、同日後初めて日本国内に住所を有しなくなった日)から起算して2年を経過している場合

外国人脱退一時金の受け取り額の計算式

国民年金の場合

 脱退一時金の請求日の属する月の前月までの第1号被保険者(任意加入被保険者を含む。)としての被保険者期間にかかる保険料納付済期間、保険料1/4免除期間(3/4に相当する期間)、保険料半額免除期間(1/2に相当する期間)及び保険料3/4免除期間(1/4に相当する期間)のうち、請求日の前日までに保険料が納付された月の中で直近の月(最後に保険料を納付した月)を「基準月」とし、「基準月」の属する年度の保険料額と保険料納付済期間等の月数により決まります。

〇脱退一時金の計算式

支給額=基準月の国民年金保険料額 × 1/2 × 保険料納付済期間等の月数に応じた数(政令で規定:下記の通り)

【保険料納付済期間等の月数に応じた数】(最後に保険料を納付した月が令和3年(2021年)4月以降の場合)

保険料納付済期間等
政令で指定された支給額計算に用いる数
6月以上12月未満
12月以上18月未満12
18月以上24月未満18
24月以上30月未満24
30月以上36月未満30
36月以上42月未満36
42月以上48月未満42
48月以上54月未満48
54月以上60月未満54
60月以上60

参考:令和6(2024)年度の国民年金保険料は1カ月あたり16,980円です。

なお、最後に保険料を納付した月が2021年3月以前の場合は、36月(3年)を上限として支給額が決定されます。

厚生年金保険の場合

〇脱退一時金の計算式

支給額 = 被保険者であった期間の平均標準報酬額※1(再評価無) × 支給率(◎)

◎支給率の計算式

支給率 = 最終月の属する年の前年の10月(※2)の保険料率 × 1/2 

            × 被保険者期間の区分に応じた支給額計算に用いる数(政令で規定:下表)

支給率の端数処理:支給率に小数点以下一位未満の端数がある場合には四捨五入します。

※2 最後に被保険者の資格を喪失した日の属する月の前月が1月から8月までの間の場合にあっては、前々年10月

※1 被保険者期間であった期間の平均標準報酬額は、以下のA+Bを合算した額を全体の被保険者期間の月数で除して得た額を言います。

A 2003年(平成15年)4月より前の被保険者期間の標準報酬月額に1.3を乗じた額

B 2003年(平成15年)4月以後の被保険者期間の標準報酬月額および標準賞与額を合算した額

【被保険者期間に応じた支給額計算に用いる数】(最終月が2021年(令和3年)4月以降の場合)

被保険者であった期間
政令で規定された支給額計算に用いる数
6月以上12月未満
12月以上18月未満12
18月以上24月未満18
24月以上30月未満24
30月以上36月未満30
36月以上42月未満36
42月以上48月未満42
48月以上54月未満48
54月以上60月未満54
60月以上60

 なお、最終月が2021年(令和3年)3月以前の場合は、これまでどおり36月(3年)を上限として支給額が計算されます。

外国人脱退一時金の受け取りに際し、相手国期間を算入できる場合

 日本の厚生年金保険被保険者期間が6月未満の者が、ドイツ法令による保険期間とを合算して6月以上ある場合、ドイツとの社会保障協定の特例により、脱退一時金の支給を受けることができます。支給額は、支給要件となる6月として、日本の厚生年金保険被保険者期間の期間比率を乗じて計算します。現時点ではドイツのみこの特例があります。国民年金の脱退一時金の支給要件には参入できません。