【2024年10月12日更新】

下記の他、海外移住・在住者の年金の受け取りには日本国内で受け取る場合と異なることが多々ございます。個別のご相談は当所までお問い合わせください。

日本の老齢年金を受け取れる年齢と条件

 老齢年金は、公的年金制度の加入者であった方の老後の保障として給付されます。原則として65歳になったときに支給が始まり、生涯にわたって受け取ることができます。

 老齢年金を受け取るためには、保険料納付済期間(厚生年金保険や共済組合等の加入期間を含む)と保険料免除期間などを合算した期間が、10年以上必要となります。(2017年までは25年の期間が必要でした。)

 加入していた年金制度により、国民年金の「老齢基礎年金」と厚生年金保険の「老齢厚生年金」が支給されます。

 老齢厚生年金については、生年月日や性別に応じて、65歳前に「特別支給の老齢厚生年金」が支給されることがあります。

                              

老齢基礎年金

 老齢基礎年金は、20歳から60歳になるまでの40年間の国民年金の加入期間等に応じて年金額が計算され、原則、65歳から受け取ることができます。
 国民年金保険料を納付した期間や免除を受けた期間のほか、サラリーマンや公務員として厚生年金保険や共済組合等に加入した期間(20歳~60歳まで)や、専業主婦(主夫)として国民年金に加入していた期間についても、老齢基礎年金の計算に含まれます。
 60歳から65歳までの間に受給開始時期を繰り上げて減額された年金を受け取り始める「繰上げ受給」や、66歳から75歳までの間に受給開始時期を繰り下げて増額された年金を受け取り始める「繰下げ受給」の制度があります。

老齢厚生年金

 老齢厚生年金は、厚生年金保険に加入していた方が受け取ることができる年金です。
 厚生年金保険に加入していた時の報酬額や、加入期間等に応じて年金額が計算され、原則、65歳から受け取ることができます。
 老齢厚生年金にも、老齢基礎年金と同様に「繰上げ受給」や「繰下げ受給」の制度があります。

特別支給の老齢厚生年金

 昭和36年4月1日(女性は昭和41年4月1日(※) )以前に生まれた方で、厚生年金保険または共済組合等の加入期間が1年以上ある場合は、生年月日に応じた年齢(60歳~64歳)から65歳になるまでの間、「特別支給の老齢厚生年金」を受け取ることができます。

(※)共済組合等に加入したことにより、共済組合等から支給される老齢厚生年金の受給開始年齢は男性と同じです。

老齢年金の受給開始年齢について

 老齢厚生年金と老齢基礎年金については、年代や性別を問わず皆様が65歳から受け取っていただくものですが、特別支給の老齢厚生年金は、下記の通り、生年月日や性別に応じて受給開始年齢が定められており、65歳になるまでの間、支給されるものになります。この受給開始年齢は後程述べます通り、長期加入者の方・障害の状態にある方への特例があり、条件に当てはまれば少し有利に受給していただくことができます。

男性:昭和16年4月2日~昭和18年4月1日に生まれた方、女性:昭和21年4月2日~昭和23年4月1日に生まれた方

   ⇒特別支給の老齢厚生年金:報酬比例部分 60歳~、 定額部分 61歳~

男性:昭和18年4月2日~昭和20年4月1日に生まれた方、女性:昭和23年4月2日~昭和25年4月1日に生まれた方

   ⇒特別支給の老齢厚生年金:報酬比例部分 60歳~、 定額部分 62歳~

男性:昭和20年4月2日~昭和22年4月1日に生まれた方、女性:昭和25年4月2日~昭和27年4月1日に生まれた方

   ⇒特別支給の老齢厚生年金:報酬比例部分 60歳~、 定額部分 63歳~

男性:昭和22年4月2日~昭和24年4月1日に生まれた方、女性:昭和27年4月2日~昭和29年4月1日に生まれた方

   ⇒特別支給の老齢厚生年金:報酬比例部分 60歳~、 定額部分 64歳~

男性:昭和24年4月2日~昭和28年4月1日に生まれた方、女性:昭和29年4月2日~昭和33年4月1日に生まれた方

   ⇒特別支給の老齢厚生年金:報酬比例部分 60歳~、 定額部分 なし

男性:昭和28年4月2日~昭和30年4月1日に生まれた方、女性:昭和33年4月2日~昭和35年4月1日に生まれた方

   ⇒特別支給の老齢厚生年金:報酬比例部分 61歳~、 定額部分 なし

男性:昭和30年4月2日~昭和32年4月1日に生まれた方、女性:昭和35年4月2日~昭和37年4月1日に生まれた方

   ⇒特別支給の老齢厚生年金:報酬比例部分 62歳~、 定額部分 なし

男性:昭和32年4月2日~昭和34年4月1日に生まれた方、女性:昭和37年4月2日~昭和39年4月1日に生まれた方

   ⇒特別支給の老齢厚生年金:報酬比例部分 63歳~、 定額部分 なし

男性;昭和34年4月2日~昭和36年4月1日に生まれた方、女性:昭和34年4月2日~昭和36年4月1日に生まれた方

   ⇒特別支給の老齢厚生年金:報酬比例部分 64歳~、 定額部分 なし

男性:昭和36年4月2日以降に生まれた方、女性:昭和41年4月2日以降に生まれた方

   ⇒特別支給の老齢厚生年金:報酬比例部分 なし、 定額部分 なし

<長期加入者の方・障害の状態にある方等の受給開始年齢の特例について>

昭和24年(女性は昭和29年)4月2日以降に生まれた方でも、次のいずれかに該当する場合は、特例として、本来の受給開始年齢から報酬比例部分と定額部分を合わせた特別支給の老齢厚生年金を受け取ることができます。

① 厚生年金保険の加入期間が44年以上の長期加入者の方。(厚生年金保険に加入中の場合を除く。)
 *複数の種類の厚生年金期間(一般の厚生年金期間や、公務員共済組合で加入している厚生年金期間など)に加入していた場合は、それぞれの種類の期間を合算することなく、1つの種類単独で44年以上の期間が必要になります。

② 障害の状態(障害厚生年金の1級から3級に該当する障害の程度)にあることを申し出た方。(厚生年金保険に加入中の場合を除く。)
*申出月の翌月分から特例受給開始となります。また、障害年金を受給中の方については、本来の受給開始年齢にさかのぼって特例受給開始となります。

③ 厚生年金保険の加入期間のうち、坑内員または船員であった期間が15年以上ある方。
*昭和 41年4月1日以前に生まれた方が対象となります。なお、受給開始年齢は女性の場合と同じです。

年金を受け取るために必要な資格期間

 老齢基礎年金・老齢厚生年金を受け取るためには、10年以上の資格期間が必要です。ただし、平成29(2017)年7月以前に受給開始年齢を迎える方は、原則25年以上の資格期間が必要になります。

年金を受け取るために必要な資格期間とは

資格期間とは保険料納付済期間 + 保険料免除期間 + 合算対象期間のことです。

具体的には以下のものになります。

① 厚生年金保険(船員保険を含む)の加入期間。
② 各共済組合等の組合員期間。
③ 国民年金保険料を納めた期間、および免除・納付猶予された期間。
④ 昭和61年4月以降、厚生年金保険・共済組合等に加入している方の被扶養配偶者として、国民年金の第3号被保険者になった期間。
⑤ 昭和36年4月から昭和61年3月までの間に、厚生年金保険・船員保険・共済組合等に加入している方の配偶者が国民年金に任意加入しなかった期間、または任意加入したが保険料を納付しなかった期間。(任意加入し、保険料を納付した期間は③に入ります。)
⑥ 昭和36年4月から昭和61年3月までの間に、以下の方が国民年金に任意加入しなかった期間、または任意加入したが保険料を納付しなかった期間。
・厚生年金保険・船員保険・共済組合等の老齢(退職)年金受給者とその配偶者
・ 〃 障害年金受給者とその配偶者
・ 〃 遺族年金受給者
・ 〃 老齢(退職)年金の受給資格を満たした方とその配偶者
*昭和61年4月からは、老齢(退職)年金受給者以外はすべて、20歳から60歳まで国民年金に加入することになっています。
⑦ 昭和36年4月以降、海外在住者、学生などが国民年金に任意加入しなかった期間、または任意加入したが保険料を納付しなかった期間。
*平成3年4月からは、20歳以上の学生はすべて、国民年金に加入することになっています。
⑧ 厚生年金保険・船員保険の脱退手当金を受け取った期間のうち、昭和36年4月以降の期間。
 (大正15年4月2日以降に生まれた方で、昭和61年4月から65歳になるまでの間に国民年金の保険料納付済期間または保険料免除等期間を有する方に限ります。)

*上記④~⑦は、すべて20歳以上60歳未満の期間に限ります。
*上記③(納付猶予された期間)および⑤~⑧(合算対象期間)は、資格期間の対象となりますが、年金額には反映されません。
*日本国籍を取得した方や日本で永住許可を受けた方の場合、20歳以上60歳未満の海外在住期間のうち、合算対象期間として資格期間に含まれる場合があります。

厚生年金保険の加入期間の数え方

加入期間は、厚生年金保険に加入した月から加入をやめた日(退職日の翌日など)の前月までの月単位で計算します。
坑内員と船員の加入期間は、昭和61年3月までの期間は実際の加入期間を4/3倍し、昭和61年4月から平成3年3月までの期間は実際の加入期間を6/5倍して計算します。

特例によって定められた期間より少ない月数でも年金を受け取れる場合があります

 平成29(2017)年7月以前に受給開始年齢を迎える方は、原則25年以上の資格期間が必要になりますが、以下のいずれかの特例に該当する場合は、資格期間を満たしたものとみなされます。

【特例1】被用者年金制度加入者の特例

厚生年金保険または共済組合等の加入期間が、生年月日に応じて定められた期間以上ある。
・昭和27年4月1日以前 20年
・昭和27年4月2日~昭和28年4月1日 21年
・昭和28年4月2日~昭和29年4月1日 22年
・昭和29年4月2日~昭和30年4月1日 23年
・昭和30年4月2日~昭和31年4月1日 24年

【特例2】中高齢者の特例


 40歳(女性・坑内員・船員は35歳)以降の厚生年金保険の加入期間が、生年月日に応じて定められた期間以上ある。

・昭和22年4月1日以前 15年
・昭和22年4月2日~昭和23年4月1日 16年
・昭和23年4月2日~昭和24年4月1日 17年
・昭和24年4月2日~昭和25年4月1日 18年
・昭和25年4月2日~昭和26年4月1日 19年


【特例3】その他の特例


①昭和29年4月以前から引き続く15年間に、坑内員として実際に12年以上加入している。
②昭和61年3月31日までに漁船員の特例(実期間11年3カ月以上)を満たしている。(ただし、昭和27年4月1日以前生まれの方に限ります。)
③退職共済年金の特例受給の資格期間を満たしている。
④恩給など旧制度で老齢(退職)給付を受け取ることができる。

<加入可能年数について>

昭和16年4月1日以前に生まれた方は、昭和36年4月から60歳になるまでの期間(この期間を「加入可能年数」といいます)の保険料をすべて納付すると、満額の老齢基礎年金を受け取ることができます。

生年月日加入可能年数
大正15年4月2日 ~ 昭和 2 年4月1日25年(300月)
昭和 2 年4月2日 ~ 昭和 3 年4月1日26年(312月)
昭和14年4月2日 ~ 昭和15年4月1日38年(456月)
昭和15年4月2日 ~ 昭和16年4月1日39年(468月)
昭和16年4月2日以降40年(480月)