【2024年10月12日更新】
遺族年金とは
遺族年金は、一家の働き手の方や年金を受け取っている方などが亡くなられたときに、ご家族に給付される年金です。
亡くなられた方の年金の加入状況などによって、「遺族基礎年金」「遺族厚生年金」のいずれか、または両方の年金が給付されます。
亡くなられた方の年金の納付状況・遺族年金を受け取る方の年齢・優先順位などの条件をすべて満たしている場合、遺族年金を受け取ることができます。
遺族年金を受け取ることができる遺族は、死亡当時、死亡した方によって生計を維持されていた以下の方が対象で、最も優先順位の高い方が受け取ることができます。
遺族年金を受け取ることができる遺族と年金の種類
日本の年金の遺族年金の遺族厚生年金、遺族基礎年金と特例遺族年金についてそれぞれご案内いたします。
遺族厚生年金を受け取るための要件
次の1から5のいずれかの要件を満たしている方が死亡されたとき、遺族に遺族厚生年金が支給されます。
- 厚生年金の被保険者である間に死亡した時とき
- 厚生年金の被保険者期間に初診日がある病気やケガが原因で初診日から5年以内に死亡したとき
- 1級・2級の障害厚生(共済)年金を受け取っている方が死亡されたとき
- 老齢厚生年金の受給権者であった方が死亡されたとき
- 老齢厚生年金の受給資格を満たした方が死亡されたとき
※1および2の要件については、死亡日の前日において、保険料納付済期間(保険料免除期間を含む)が国民年金加入期間の3分の2以上あることが必要です。ただし、死亡日が令和8年3月末日までのときは、死亡された方が65歳未満であれば、死亡日の前日において、死亡日が含まれる月の前々月までの直近1年間に保険料の未納がなければよいことになっています。
※4および5の要件については、保険料納付済期間、保険料免除期間および合算対象期間を合算した期間が25年以上ある方に限ります。
遺族厚生年金を受け取れる方とは?
死亡されて方に生計を維持されていた以下の遺族のうち、最も優先順位の高い方が受け取ることができます。なお、遺族基礎年金を受給できる遺族の方はあわせて受給できます。
- 子のある配偶者
- 子(18歳になった年度の3月31日までにある方、または20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の状態にある方。)(※1)
- 子のない配偶者(※2)
- 父母(※3)
- 孫(18歳になった年度の3月31日までにある方、または20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の状態にある方。)
- 祖父母(※3)
(※1)子のある妻または子のある55歳以上の夫が遺族厚生年金を受け取っている間は、子には遺族厚生年金は支給されません。
(※2)子のない30歳未満の妻は、5年間のみ受給できます。また子のない夫は55歳以上である方に限り受給できますが、受給開始は60歳からとなります。(ただし、遺族基礎年金を併せて受給できる場合に限り、55歳から60歳までの間であっても遺族厚生年金を受給できます。)
(※3)父母または祖父母は、55歳以上である方に限り受給できますが、受給開始は60歳からとなります。
遺族厚生年金の受給額
遺族厚生年金の年金額は、死亡した方の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3の額となります。なお、上記受給要件の1、2および3に基づく遺族厚生年金の場合、報酬比例部分の計算において、厚生年金の被保険者期間が300月(25年)未満の場合は、300月とみなして計算します。
65歳以上で老齢厚生(退職共済)年金を受け取る権利がある方が、配偶者の死亡による遺族厚生年金を受け取るときは、「死亡した方の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3の額」と「死亡した方の老齢厚生年金の報酬比例部分の額の2分の1の額と自身の老齢厚生(退職共済)年金の額の2分の1の額を合算した額」を比較し、高い方の額が遺族厚生年金の額となります。
中高齢寡婦加算とは
次のいずれかに該当する妻が受ける遺族厚生年金(※1)には、40歳から65歳になるまでの間、612,000円(年額)が加算されます。
- 夫が亡くなったとき、40歳以上65歳未満で、生計を同じくしている子(※2)がいない妻。
- 遺族厚生年金と遺族基礎年金を受けていた子のある妻(※3)が、子が18歳到達年度の末日に達した(障害の状態にある場合は20歳に達した)等のため、遺族基礎年金を受給できなくなったとき。
(※1)老齢厚生年金の受給権者または受給資格期間を満たしている夫が死亡したときは、死亡した夫の厚生年金保険の被保険者期間が20年(中高齢の期間短縮の特例などによって20年未満の被保険者期間で共済組合等の加入機関を除いた老齢厚生年金の受給資格期間を満たした方はその期間)以上の場合に限ります。
(※2)「子」とは次の方に限ります。
- 18歳到達年度の末日(3月31日)を経過していない子
- 20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の障害状態にある子
(※3)40歳に到達した当時、子がいるため遺族基礎年金を受けている妻。
(※4)平成19年3月31日以前に夫が亡くなられ、遺族厚生年金を受けられているいる方は、上記1,と(※3)の「40歳」を「35歳」と読み替えて「ください。
昭和31年4月1日以前生まれの妻が、遺族厚生年金を受け取ることができるようになった当時65歳以上であったとき、または中高齢の寡婦加算額を受け取っている方が65歳になったときは、中高齢の寡婦加算額が経過的な加算額(生年月日に応じて減額)に変わります。
遺族基礎年金を受け取ることができるときは、中高齢寡婦加算および経過的寡婦加算を受け取ることができません。
経過的寡婦加算とは
次のいずれかに該当する場合に遺族厚生年金に加算されます。
- 昭和31年4月1日以前生まれの妻に65歳以上で遺族厚生年金の受給権が発生したとき(上記4および5の受給要件に基づく場合は、死亡した夫の厚生年金保険の被保険者期間が20年(中高齢の期間短縮の特例などによって20年未満の被保険者期間で共済組合等の加入期間を除いた老齢厚生年金の受給資格期間を満たした方はその期間)以上の場合に限ります。)
- 中高齢の加算がされていた昭和31年4月1日以前生まれの遺族厚生年金の受給権者である妻が65歳に達したとき
経過的寡婦加算の額は、昭和61年4月1日から60歳に達するまで国民年金に加入した場合の老齢基礎年金の額と合わせると、中高齢寡婦加算の同額程度となるように決められています。
障害基礎年金を受け取っている間は、経過的寡婦加算を受け取ることができません。
遺族基礎年金を受け取ることができるときは、中高齢寡婦加算および経過的寡婦加算を受け取ることができません。
65歳以上の遺族厚生年金の受給権者が、自身の老齢厚生年金の受給権を有する場合
平成19年3月31日までは、原則、どちらを受給するか選択することとなっていましたが、平成16年の年金制度改正により、平成19年4月1日からは、自分自身が納めた保険料を年金額に反映させるため、65歳以上で遺族厚生年金と老齢厚生年金を受け取る権利のある方は、老齢厚生年金が全額支給となり、遺族厚生年金は老齢厚生年金に相当する額に支給が停止となります。
平成19年4月1日前に65歳以上である遺族厚生年金の受給権者の年金の受け取り方
平成19年4月1日前に遺族厚生年金を受ける権利を有し、かつ、同日において既に65歳以上の方は、平成19年4月1日前と同様に、次の1から3のうち、いずれかの組み合わせをせんたくすることとなります。ただし、3は、遺族厚生年金の受給権者が、死亡した方の配偶者である場合に限ります。
- 「老齢基礎年金」と「遺族厚生年金」を受給する。
- 「老齢基礎年金」と「老齢厚生年金」を受給する。
- 「老齢基礎年金」と「遺族厚生年金の3分の2と老齢厚生年金の2分の1の合計」を受給する。
ご注意!
遺族厚生年金の受給権者が、老齢厚生年金、退職共済年金または遺族共済年金を受ける権利を有するときは、遺族厚生年金の支給額の決定のため、これらの年金の裁定請求が必要です。
また、国民年金の第1号被保険者期間がある方が死亡した場合は、別途、寡婦年金や死亡一時金を受給できる場合がありますのであわせてご確認が必要です。
次に遺族基礎年金のお話に移ります。
遺族基礎年金を受け取れる場合とは?
次の1から4のいずれかの要件を満たしている方が亡くなられたとき、遺族に遺族基礎年金が支給されます。
- 国民年金の被保険者である間に死亡したとき
- 国民年金の被保険者であった60歳以上65歳未満の方で、日本国内に住所を有していた方が亡くなられたとき
- 老齢基礎年金の受給権者であった方が亡くなられたとき
- 老齢基礎年金の受給資格を満たした方が亡くなられたとき
※1および2の要件については、死亡日の前日のおいて、保険料納付済期間(保険料免除期間を含む)が国民年金加入期間の3分の2以上あることが必要です。ただし、死亡日が令和8年3月末日までのときは、亡くなられた方が65歳未満であれば、死亡日の前日において、死亡日が含まれる月の前々月までの直近1年間に未納がなければかまいません。
※3および4の要件については、保険料納付済期間、保険料免除期間および合算対象期間を合算した期間が25年以上ある方に限ります。
遺族基礎年金を受け取れる対象者
亡くなられた方に生計を維持されていた以下の遺族が受け取ることができます。なお、遺族厚生年金を受給できる遺族の方はあわせて受給できます。
- 子のある配偶者
- 子
配偶者については、婚姻の届出はしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者(内縁の配偶者)も含まれます。
子については、死亡した方の実子または養子を指します。養子縁組されていない配偶者の子は含まれません。
※1 「子のある配偶者」が遺族年金を受け取っている間は、「子」に遺族年金は支給されません。
※2 30歳未満の子のない妻は、5年間の有期給付となります。一定の条件を満たす妻には中高齢の寡婦加算があります。
子とは18歳になった年度の3月31日までにある方、または20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の状態にある方を指します。(婚姻していない場合に限ります。)
※死亡した当時、胎児であった子も出生以降に対象となります。
子のある配偶者が遺族基礎年金を受け取っている間や、子に生計を同じくする父または母がいる間は、子には遺族基礎年金は支給されません。
遺族基礎年金の年金額(令和6年4月分から)
子のある配偶者が受け取るとき
・昭和31年4月2日以後生まれの方・・・・・816,000円+子の加算額
・昭和31年4月1日以前生まれの方・・・・・813,700円+子の加算額
子が受け取るとき
次の金額を子の数で割った額が、1人あたりの額となります。
816,000円+2人目以降の子の加算額
・1人目及び2人目の子の加算額 各234,800円
・3人目以降の子の加算額 各78,300円
特例遺族年金とは
特例遺族年金の支給要件
死亡した者が次の要件に該当することが必要です。
- 厚生年金保険の被保険者期間(第1号厚生年金被保険者期間に限ります。)が1年以上あること
- 老齢厚生年金の受給資格期間を満たしていないこと
- 厚生年金保険の被保険者期間と旧共済組合員期間(旧令共済組合の組合員期間)とを合算した期間が20年以上あること
死亡した者が上記要件を満たし、遺族に遺族厚生年金の受給権が発生しない場合、特例遺族年金が支給されます。
特例遺族年金の年金額
特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分と定額部分の合算)の100分の50の額となります。
金額はすべて令和6年度のものです。