老齢年金の繰り上げ・繰り下げ請求について
【2024年10月12日更新】
繰上げ受給
老齢基礎年金・老齢厚生年金は、希望すれば、本来の受給開始年齢よりも早い時期に受け取ることができます。これを「繰上げ受給」といいます。
繰上げ受給は、60歳から65歳になるまでの間に請求することができます。ただし、繰上げ受給の請求をした時点(月単位)に応じて、本来の受給開始日までの月数ごとに0.4% 年金額が減額さ(たとえば、60歳時点では24%減額されます)、その減額率は生涯変わりません。また、減額された年金は、繰上げ請求した月の翌月分から受け取ることができます。
※繰上げ受給の減額率は、生年月日により異なります。
※老齢基礎年金・老齢厚生年金それぞれについて減額され、減額は生涯続きます。
<繰上げ受給の減額率について>
【昭和37年4月2日以降生まれの方】 繰り上げた月数×0.4%減額(最大24%)
【昭和37年4月1日以前生まれの方】 繰り上げた月数×0.5%減額(最大30%)
<繰上げ受給を請求する際の注意事項>
① 繰上げ受給の請求をした時点(月単位)に応じて年金が減額され、減額率は生涯変わりません。
② 老齢基礎年金と老齢厚生年金はあわせて繰上げ受給の請求をする必要があります。
(特別支給の老齢厚生年金を受給している方が老齢基礎年金を繰上げする場合等を除き、どちらか一方のみを繰上げ受給することはできません。)
③ 日本年金機構と共済組合等から複数の老齢厚生年金を受け取ることができる場合は、すべての年金について同時に繰上げ受給の請求をしなくてはいけません。
④ 65歳になるまでは、遺族厚生(遺族共済)年金と繰り上げた老齢基礎年金を同時に受け取ることはできません。
⑤ そのほか、以下の点にご注意ください。
・障害の程度が重くなった場合に、障害基礎年金を受け取ることはできません。
・寡婦年金を受け取ることはできません。
・国民年金に任意加入することや、保険料を追納することはできません。
・繰上げ受給を取り消すことはできません。
特別支給の老齢厚生年金を受給できる方の繰上げ受給
特別支給の老齢厚生年金を受給できる方も、希望すれば60歳から受給開始年齢の前月になるまでの間に老齢厚生年金を繰り上げて受け取ることができます。
繰上げ受給の老齢厚生年金の年金額は、本来の受給開始年齢で受け取る額から、繰上げ
請求日から本来の受給開始日までの月数ごとに0.4%減額されます。
老齢基礎年金と同時に繰上げが必要になるなど、繰上げ受給を請求する際の注意事項は
同様です。
(例)受給開始年齢が63歳の方が、60歳で繰上げ受給した場合
「繰上げ受給の老齢厚生年金」は、本来の年金額から14.4%(36カ月×0.4%)減額されます。
「繰上げ受給の老齢基礎年金」は、本来の年金額から24%(60カ月×0.4%)減額されます。
*長期加入者の方・障害の状態にある方・船員または坑内員であった期間が15年以上の方が、繰上げ受給の老齢厚生年金を受け取る場合は、上記の年金額に加え、繰上げ調整額※を受け取ることができます。
※本来の受給開始年齢から受け取ることができる定額部分の年金額を、請求日に応じて按分した年金額。
老齢基礎年金の繰上げについて
特別支給の老齢厚生年金の受給開始年齢に到達している方も、65歳までの間に老齢基礎年金を繰り上げて受給することができます。
*特別支給の老齢厚生(退職共済)年金の定額部分を受給できる場合は、定額部分が支給停止されます。
繰下げ受給
老齢基礎年金・老齢厚生年金は、希望すれば、本来の受給開始年齢よりも遅い時期に受け取ることができます。これを「繰下げ受給」といいます。
繰下げ受給は、66歳から75歳(昭和27年4月1日以前生まれの方は70歳)になるまでの間に請求することができます。繰下げ受給の請求をした時点(月単位)に応じて、受給権発生年月日から繰下げした月数ごとに0.7%年金額が増額され(たとえば、70歳時点では42% 75歳時点では84%増額されます) その増額率は生涯変わりません。
また、増額された年金は、繰下げ請求した月の翌月分から受け取ることができます。
老齢基礎年金・老齢厚生年金それぞれについて増額され、増額は生涯続きます。
老齢基礎年金・老齢厚生年金それぞれについてどちらか一方のみ繰下げすることも可能です。
*繰下げ待機期間中は、繰下げ受給の請求を行うか、65歳からの本来の老齢基礎年金・老齢厚生年金をさかのぼって受け取るか、いつでも選択することができます。
繰下げ加算額
繰下げ加算額は、原則として65歳時点の老齢厚生年金額を基準として、受給の繰下げの請求をした時期に応じて、計算されます。
繰下げ加算額 =(繰下げ対象額+経過的加算額)× 増額率
繰下げ受給の受給率
繰り下げた月数×0.7%増額(最大84%)
繰下げ待機期間中に在職している場合の増額率について
繰下げ待機期間中の在職により支給停止される額については、増額の対象となりません。
繰下げ受給を請求する際の注意事項
① 加給年金額や振替加算額は増額の対象になりません。また、繰下げ待機期間(年金を受け取っていない期間)中は、加給年金額や振替加算を受け取ることができません。
② 65歳に達した時点で老齢年金を受け取る権利がある場合、75歳に達した月(75歳の誕生日の前日の属する月)を過ぎて請求を行っても増額率は増えません。増額された年金は、75歳までさかのぼって決定され支払われます。
③ 日本年金機構と共済組合等から複数の老齢厚生年金(退職共済年金)を受け取ることができる場合は、すべての老齢厚生年金について同時に繰下げ受給の請求をしなくてはいけません。
④ 65歳の誕生日の前日から66歳の誕生日の前日までの間に、障害給付や遺族給付を受け取る権利があるときは、繰下げ受給の請求ができません。ただし、「障害基礎年金」または「旧国民年金法による障害年金」のみ受け取る権利のある方は、老齢厚生年金の繰下げ受給の請求ができます。
⑤ 66歳の誕生日以降の繰下げ待機期間中に、他の公的年金の受給権(配偶者が死亡して遺族年金が発生した場合など)を得た場合には、その時点で増額率が固定され、年金の請求の手続きを遅らせても増額率は増えません。このとき、増額された年金は、他の年金が発生した月の翌月分から受け取ることができます。
⑥ 厚生年金基金または企業年金連合会(基金等)から年金を受け取っている方が、老齢厚生年金の繰下げを希望される場合は、基金等の年金もあわせて繰下げとなりますので、年金の支払元である基金等にご確認ください。
⑦ このほか、年金生活者支援給付金、医療保険・介護保険等の自己負担や保険料、税金に影響する場合があります。
※昭和27年4月1日以前に生まれた方は、70歳に達した月までとなります。
本来の年金をさかのぼって受け取る場合の増額制度(特例的な繰下げみなし増額制度)
●繰下げ受給を希望した場合でも、繰下げ請求の手続きをするまでの間に、受給権発生時点からの年金をさかのぼって一括して受け取ることを選択することもできます。
●令和4年4月から老齢年金の繰下げ受給の上限年齢が70歳から75歳に引き上げられたことに伴い、令和5年4月から70歳以降も安心して繰下げ待機を選択できるように制度改正が行われ、70歳に到達した日後に受給権発生時点からの年金をさかのぼって受け取ることを選択した場合でも、請求の5年前の日時点で繰下げ申出したものとみなし、増額した年金の5年間分を一括して受け取ることができるようになりました。
※繰下げみなし増額制度は昭和27年4月2日以降に生まれた方、または平成29年4月1日以降に受給権が発生した方が対象です。
※繰下げみなし増額制度は80歳以降に請求する場合や、請求の5年前の日以前から障害年金や遺族年金を受け取る権利がある場合は、適用されません。
※過去分の年金を一括して受給することにより、過去にさかのぼって医療保険・介護保険の自己負担や保険料、税金等に影響する場合があります。