【2024年10月14日更新】
障害年金の請求事由の種類
障害認定日による請求
①初診日から起算して1年6月を経過した日(②を除く)
②初診日から起算して1年6月経過前に傷病が治った場合(その症状が固定し、治療の効果が期待できない状態に至った日を含む。)(以下「症状固定日」という。)は症状固定日。
③初診日が20歳前の未加入期間である場合(以下20歳前傷害)という。)は、以下の日をもって障害認定日請求とする。
- 障害認定日が20歳前にある場合には20歳に到達した日
- 障害認定日が20歳以後である場合は障害認定日
障害認定日とは
障害認定日とは初診日から起算して1年6カ月を経過した日(1年6月を経過する前に症状固定日がある場合は症状固定日)となる。
症状固定日とは
器質的欠損若しくは変形又は機能障害を残している場合は、医学的にその傷病が治ったとき、又はその症状が安定し、長期にわたってその疾病の固定性が認められ、医療効果が期待しえない状態に至ったときをいいます。
具体的には、次の表の「障害認定日」が初診日から起算して1年6月を経過する前である場合は、その日を障害認定日とします。
なお、表以外の場合でも、障害認定基準に記載されている「障害が治った場合」に該当すれば、初診日から起算して1年6月を経過する前に障害認定日として認定できます。
診断書 | 傷病が治った状態 | 障害認定日 | 障害等級の目安 |
聴覚等 | 咽頭全摘出 | 咽頭全摘出日 | 2級 |
肢体 | 人工骨頭、人工関節を挿入置換 | 挿入置換日 | 上肢3大関節又は下肢3大関節に人工関節を挿入置換した場合、原則3級(①) |
肢体 | 切断又は離断日による肢体の障害 | 切断又は離断日(障害手当金は創面治癒日) | 1肢の切断で2級、2肢の切断で1級ー下肢のショパール関節以上で欠くと2級、リスフラン関節以上で欠くと3級 |
肢体 | 脳血管障害による機能障害 | 初診日から6月経過した日以後 | |
呼吸 | 在宅酸素療法 | 開始日(常時使用の場合) | 3級(常時(24時間)使用の場合) |
循環器(心臓) | 人工弁、心臓ペースメーカー、植え込み型除細動器(IⅭD) | 装着日 | 3級 |
循環器(心臓) | 心臓移植、人工心臓、補助心臓 | 移植日又は装着日 | 1級(術後の経過で等級の見直しがある) |
循環器(心臓) | ⅭRT(心臓再同期医療機器)、CRTーD(除細動器機能付き心臓再同期医療機器) | 装着日 | 重症心不全の場合は2級(術後の経過で等級の見直しがある) |
循環器(心臓) | 胸部大動脈解離や胸部大動脈瘤により人工血管(ステントグラフト含む)を挿入置換 | 挿入置換日 | 3級(一般状態区分が「ィ」か「ウ」の場合) |
腎臓 | 人工透析療法 | 透析開始から起算して3月を経過した日 | 2級 |
他 | 人工肛門造設、尿路変更術 | 造設日又は手術日から起算して6月経過した日 | 左記のいずれか1つで3級 |
他 | 新膀胱造設術 | 造設日 | 3級(①) |
他 | 遷延性植物状態 | 状態に至った日から起算して3月を経過した日以後(④) | 1級 |
②脳血管障害により機能障害を残している場合は、初診日から起算して6月経過した日以降に医学的観点から、それ以上の機能回復がほとんど望めないと認められるときに認定されるので、請求すれば必ず認められるものではありません。また、初診日から起算して6月を経過するまでは、症状が固定しているとは認められない。なお、症状が固定していないと認定されて不支給となった場合も、初診日から起算して1年6月を経過する前に症状が固定した日を障害認定日として障害認定日請求を行うことが可能です。
③人工肛門を造設した場合、次のいずれかに該当する場合は2級とし、障害認定日は次の通りとなります。
・人工肛門を造設し、かつ、新膀胱を造設した場合・・・障害認定日は、人工肛門を造設した日から起算して6月を経過した日又は新膀胱を造設した日のいずれか遅い日(初診日から起算して1年6月以内の日に限る。)とする。
・人工肛門を造設し、かつ、尿路変更術を施した場合・・・障害認定日は、人工肛門を造設した日又は尿路変更術を行った日のいずれか遅い日から起算して6月経過した日(初診日から起算して1年6月以内の日に限る。)とする。
・人工肛門を造設し、かつ、完全排尿障害状態にある場合・・・障害認定日は、人工肛門を造設した日又は完全排尿障害状態に至った日のいずれか遅い日から起算して6月を経過した日(初診日から起算して1年6月以内の日に限る。)とする。
④遷延性植物状態は、次の6項目に該当し、かつ、3月以上継続しほぼ固定している状態において診断されることになるが、障害認定日を判断する際の起算日は、診断基準の6項目に該当した日になる。遷延性植物状態の診断が確定してから、3月を経過した日ではない。
<遷延性植物状態の診断基準の6項目>
・自力で移動できない。
・自力で食物を摂取できない
・糞尿失禁を見る
・目で物を追うが認識できない
・簡単な命令には応ずることもあるが、それ以上の意思の疎通ができない
・声は出るが意味のある発語ではない
事後重症による請求
現在からの請求。請求日時点で65歳到達前(65歳の誕生日の前々日以前)かつ、老齢年金の繰り上げ請求をしていないことが必要です。
障害の併合
1つの傷病で障害が複数現れた場合
認定基準の「併合(加重)認定表」を使用して、併合認定が行われます。
日本年金機構ホームページに掲載している「国民年金・厚生年金保険障害認定基準」の第2章「併合認定基準」をご参照ください。
2つ以上の傷病による障害年金の併合
国民年金法、厚生年金保険法に基づき、「併合」、「初めて2級」、「併合改定」の3つに区分されます。
併合
障害給付の受給権者に、さらに障害給付を支給すべき事由が生じたときは、前後の障害を併合した障害の程度による障害給付(併合後1級又は2級になるものに限る。)が支給されます。
前発障害の障害給付
- 障害基礎年金及び障害等級1級又は2級の障害厚生年金をいいます。
- 現在障害基礎年金が支給停止中のもの、障害厚生年金が3級又は支給停止中だが以前に1級又は2級だったものを含みます。
後発障害の障害給付
- 障害基礎年金及び障害等級が1級又は2級の障害厚生年金
※前発障害と後発障害の区分は、受給権発生年月日で判断します。
初めて障害等級の1級または2級に該当したことによる請求
複数の障害を併せて初めて障害等級の2級以上に該当するときは、当該障害を併合した障害の程度による障害給付が支給されます。
前発の障害は、その障害の程度が3級以下のもので(以前に1級又は2級の障害年金であったものを除く。)、制度・資格・納付要件は問いません。
前発障害と後発障害の区分は、初診日で判断します。
納付要件等は基準障害で確認します。
初めて障害等級1級又は2級に該当したことによる請求は、請求日時点で老齢年金の繰り上げ請求をしていないことが必要です。
初めて2級による請求は65歳以降でも請求可能ですが(老齢年金の繰り上げ請求をしている場合を除く)、請求者が65歳を経過した後に請求する場合は、基準障害の障害認定日が65歳到達前であり、かつ、65歳到達前の現症の診断書の添付が必要となります。年金の支給は請求日の翌月分からの支給となります。
併合改定
障害給付の受給権者(※)に、さらに障害等級1級・2級に該当しない程度の障害が生じた場合は、前後の障害を併合した障害の程度による障害給付が支給される。この場合、後発障害は受給要件を満たしている必要があります。
(※)前発障害の障害給付
- 障害基礎年金及び障害等級1級又は2級の障害厚生年金をいう。
- 現在障害基礎年金が支給停止中の者及び障害厚生年金が3級または支給停止中であるが、以前に1級又は2級であったものを含む。
平成6年改正法附則6条による請求
平成6年改正法附則第6条による障害基礎年金とは
- 請求傷病の初診日が、昭和36年4月1日~昭和61年3月31日までにある
- 初診日において、公的年金制度の被保険者である。
- (当時の支給要件に該当しなかったため)障害を支給事由とする年金たる給付の受給権を有したことがない。
- 施行日(平成6年11月9日)又はその翌日以降65歳に達する日の前日までに障害等級1級又は2級に該当した。
上記のすべてに該当する者が、65歳に達する日の前日までに、障害基礎年金の請求ができるという規定です。
≪納付要件≫
請求傷病に係る初診日の前日において、当該初診日の属する月の前々月までに国民年金の被保険者期間があり、かつ当該被保険者期間に係る保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が3分の2以上あること。
なお、保険料納付済期間には、被用者年金制度における20歳前及び60歳以降の期間は算入できず、また直近1年要件は使用できない。さらに、初診日が平成3年5月1日前にある場合、「月の前々月」を「月前における直近の基準月の前月」に読み替える規定はありません。
≪支給開始≫
年金請求書の受付日が受給権発生日となり、年金の支給開始は請求日の翌月からとなります。
※厚生年金保険加入中に初診日があっても、3級はありません。
※毎年、前年所得の確認をして、全額支給停止や半額支給停止の判断します。
※その他の支給停止も、20歳前障害基礎年金と同様です。
※法改正前の障害年金の支給要件では、「初診日の前月までに他の公的年金制度の加入期間を含めて6月以上の被保険者期間を有すること」とされていました。初診日が